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健康増進歯学 Health Promotion Dentistry

予防歯科学と言う名前から連想できることは、う蝕と歯周病の予防である。しかし、この二大疾患の予防理論はほぼ確立している。フッ化物の応用と歯周組織強化療法である。

フッ化物の応用は日本ではフッ化物配合歯磨剤の普及であった。実際それによって日本でのう蝕は激減してきた。

歯周組織強化療法では「つまようじ法」の術者みがきとなる。「つまようじ法」の術者みがきは術式が難しいのが問題となっている。誰もが出来る方法を確立させ、普及させれば良い。その一つとして「つまようじ法」をロボット化した電動歯ブラシ、TAPGの普及がある。

フッ素入り歯磨き剤と電動歯ブラシTAPGの普及で予防歯科学の役割(二大疾患の予防)は終わる。次の時代の歯科医療のターゲットは何だろうか? 情熱のある若い歯科医師・歯科衛生士が生きがいを感じられるものに何があるのだろうか? それは健康増進歯学(Health Promotion Dentistry)である。

健康増進歯学は、「国民の健康を保持・増進するために歯科医療ができることは何だろうか?」を考えそれを実践・評価する。まず、最初に取り組むべきことは歯肉出血の防止だ。

ブラッシング時の出血は歯周ポケットに潰瘍ができている証拠だ。血液がレッドコンプレックスと言われている細菌群に共通した栄養成分であり、また、潰瘍のある所から口腔内細菌は血液中に侵入し、全身に廻る。従って、歯周ポケットの潰瘍を修復すればレッドコンプレックスの増殖は抑えられるし、血中移行も防止できる。

ブラッシング時の歯肉出血を無くすことが出来れば、歯周病と関連していると言われている全身疾患の多くが予防可能となる。健康増進歯学の第一歩である。