歯石が着いてなくてもスケーリングの保険点数を請求している?
歯周病患者さんで歯石が直視できる人は10%以下のように思える。 しかし、歯科健康保険で歯周病名が付いているカルテのほとんどで歯石除去が請求されているのではないだろうか?
歯科保険ではブラッシング指導と歯石除去はセットになっているから、歯石除去を請求しないと処置に要した時間とのタイパが得られない。
歯肉縁上歯石
歯面に歯垢が付着して、唾液中のカルシュウムが歯垢に付着(石灰化)してできると教えられた。歯ブラシの毛先で歯垢が除去されたら、歯肉縁上歯石は出来なくなる。
歯肉縁上歯石は唾液腺開口部(上顎大臼歯頬側と下顎前歯舌側)に近い歯面にできることから考えると唾液が関係していることは間違いなさそうだ。歯肉炎の好発部位は歯間部で、歯肉縁上歯石の有無とは関連がなさそうだ。歯肉縁上歯石と歯肉炎との相関関係は認められているのだろうか?
歯肉縁上歯石の石灰化は、歯垢付着後2-3日で見られるらしい。1ヶ月もすれば可視化する。1ヶ月に1回の来院間隔で、歯肉縁上歯石が毎回確認できる症例では、口腔衛生指導が功を奏していないのである。成功しようがしまいが、請求できるのが保険である。
歯肉縁下歯石
歯肉縁下歯石の好発部位は特定されていない。
黒色又は赤褐色と言われる。その由来は血液成分、特にヘム鉄だと言う。だとしたら、歯肉出血している(内縁上皮が潰瘍又はびらんを起こしている)部位に歯肉縁下歯石が出来るんだ。炎症が起きている場所に歯肉縁下歯石が出来たんだ。歯肉縁下歯石は歯肉の炎症の原因ではなく、結果なんだ。
歯肉縁下歯石を除去すると炎症は引くらしいから、歯石は原因でなく、炎症の増悪因子なのだろう。でも、歯肉縁下歯石が可視できないところでも歯周病はは起こっているし、歯周病で抜歯した歯の根面では歯肉縁下歯石が確認できない歯の方が多い。
歯肉縁下歯石が歯周病の原因だとするのは間違いだ。
歯肉縁下歯石は十数年かかって形成されるが、その間に歯周の状態は良くなったり、悪くなったりする。それは宿主の抵抗力に変化が起こるからである。